鎌倉彫道友会 鎌倉彫ノート
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鎌倉彫の歴史や 彫刻・漆塗りの技法、職人の日常の心掛けなどについて
折に触れ 思い出すまま 想いつくままに綴った 講師の備忘録です。
“私的なメモ書き”ですので 体系的なまとまりはありませんが
実制作上のヒントになることもあるかと思い ためしに掲載することにしました。
ひょっとすると 見当はずれな記述もあるかもしれません。
読者諸氏からの ご指摘とご教導を お願い申しあげます。
【“鎌倉彫ノート”の6つのジャンル分け】・・・各項目をクリックして、お好きなところからお読みください!
@『用語』のページへジャンプ!・・・「小刀の形状に関する用語」
A『歴史』のページへジャンプ!・・・「経年老成のこころ」 「鎌倉彫と禅・仏教(2012.1.18更新)」「鎌倉彫と茶道(1.23〜順次更新中)」
B『素材』のページへジャンプ!・・・準備中です。m(_ _)m
C『技法』のページへジャンプ!・・・4月8日UPしました!
D『デザイン・図案・文様・表現』のページへジャンプ!…準備中です。m(_ _)m
E『つくり手の気持ち・姿勢』のページへジャンプ!・・・1〜7までUP中です!
NOTE 1.入門時の想い出――プロローグに代えて――
鎌倉彫高等職業訓練校に学んでいた当時(昭和55年4月〜57年3月)のノートをみると、
当時の先生たちが、若い入門者を、どのような“鎌倉彫工人”に育てようとしていたかがうかがわれ、
たいへん感慨深く、ありがたい気持ちになります。
ノートによれば、4月1日が入学式で、初教習は4月2日。この日の板書の内容は――、
・彫刻刀の種類
・左右小刀の見分け方と彫刻刀各部の名称(=職人風の業界用語)。
・砥石のおおまかな種類
・小刀の研ぎ方
(=“砥ぎ面”を意識してキング♯1200で研削。
次にその研削面が滑らかに連続するように“アール”をつけて研ぐ)
――となっており、
『訓練に必要な“用語”を憶える』
『鎌倉彫の基本技である“刃物(:先ずは右小刀)のアール研ぎ”を徹底的に身につける』
の2つが、指導のポイントだったと思われます。
その後、第1年度で通算8回の坐学中心の講義があり、その内容はだいたい以下の通りでした。
・漆芸史の総説(中国と日本に焦点を絞った内容)
・木材と砥石の基礎知識
・漆芸の基礎知識
・日本の漆器産地の概観
・各種大工道具(砥石・鑿・柄・鉋など)の専門知識
・木彫技法の種類(鉄筆彫〜立体彫刻、根付彫まで)
・鎌倉彫の歴史(文献学的なアプローチ)
・大工道具の扱い方(実習)
・デザインの基礎実習
続いて、第2年度に入ると――、
・デザインの応用実習
・鉛筆デッサンの実習
・鎌倉彫職人史
(平安〜現代に至る壮大な内容。特に明治時代の講義内容は圧巻でした)
・漆芸の専門知識
・鎌倉彫の塗り技法の種類と特徴
・工人の心構え
――の6つ教程をめぐって、かなりの頻度での実習と 坐学の講義が実施されています。
当時の坐学講義の講師は、
後藤俊太郎先生、木内晴岳先生、星野光雄先生、佐藤泰岳師(:私の親方)
というそうそうたるお顔ぶれで、今にして思えば、このような先生方のおそば近くに坐って、
じかにその謦咳にふれることが出来たのは、たいへんありがたいことでした。
あらためて講義の記録を読み直すと、先生方が私ども新入りに是非とも叩きこみたかったことは、
以下の諸点に要約されるかと思います。
@業界の“専門用語”に習熟すること。
(=鎌倉彫業界内だけでなく、鍛冶・木地・漆掻き・天然砥石・漆刷毛などの隣接業界全般において、
意思疎通が出来るようになること。)
A鎌倉彫という伝統工芸についての“歴史的理解”。
(=“伝統文化の担い手”としての自覚をもつこと。)
B木地や漆などの“素材に対する理解と敬意”。
C彫刻刀や砥石、大工道具、漆刷毛などの“道具に対する理解と敬意”。
D彫刻・漆芸の各種の“表現技法に対する習得意欲”。(=“表現と技に対する情熱”をもつこと。)
E“意匠(デザイン)のセンス”の練磨。そのために“国宝級のほんもの”をたくさん見て、目を肥やすこと。
F“写生”“粘土塑造”などの習慣を日常化し、“美の物差し”を肉眼に叩きこむこと。
G鎌倉彫工人としての“基本姿勢”を終生貫くこと。
【※基本姿勢とは・・・
まず“基本技術”を徹底研鑽し、次に習得した技術を土台に“個性美”を磨き、
最後にその“個性美”をも離れて、誰にも通じる“普遍美”を追求すること。
世阿弥の「花伝書」や中島敦の「名人伝」を引用しての訓示で、
『全身全霊を心と技の練磨に捧ぐべし』との講義内容でした。】
――こうしてあらためて書き出してみると・・・
今更ながら冷や汗がタラ〜リタラリ・・・まったく身の引き締まる思いがします。
私自身、実践できていないことばかりですが、確かにこれらの課題をきちんと極めれば、
(プロとしてもアマとしても)最高にハッピーな鎌倉彫人生が送れそうです。
この“鎌倉彫ノート”では、主に上記の8つの課題を頭において、
講師の昔の想い出や最近の心境などを、徒然草風につづって行きたいと思っています。
(ただし、Cついては、“道具道楽”のページで取り上げるつもりです。)
まずはプロローグということで、今日はこの辺でおつもりにしたいと思いますが、
ページの趣旨に興味がわきましたら、またちょくちょく遊びに来てやって下さいませm(__)m
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